税務調査と添付書類

2013/01/08 11:41

先日とある社長さん(私の顧問先ではありません)とお話しをしていたら、

税務署の調査が入ることをとても心配していたので、

「申告書に添付書類はつけていないのですか?」と聞きましたら、

その社長さんは「添付書類」の存在自体をご存知ありませんでした。

「添付書類」(=書面添付制度)とは、れっきとした法律(税理士法33条)に規定のある制度で、

税理士が自分の作った申告書に対して「こんな書類を基に申告書を作りました。」

「こんなことに気をつけて申告書を作りました。」との意見を記載して税務署にアピールできる制度で、

私は、税理士が税務の専門家として行使できる大きな権利のひとつだと思っています。

税務署は、この「添付書類」が申告書に添付されて提出された場合には、直接納税者に調査に行くことはできず、

原則税理士に対して質問をして、疑問点を解消しなければならないこととされています。

たぶん、世の中の税理士で、この書面添付制度を活用している税理士は10%にも満たないと思われます。

だって、余計な手間がかかるし、責任は負うしで、その分の報酬も別にはもらいずらいからです。

しかし、私は、この制度は十分に活用すべきだと思います。

なぜなら、この制度自体が、税務当局が税理士を税務の専門家として尊重し、

税務行政の円滑化・簡素化に役立つと思うからです。

ちなみに、幣事務所の書面添付率は、法人税申告書100%、相続税申告書100%です。

(個人の確定申告は、繁忙期に集中してしまうため、つけきれていません)

その効果があってか、幣事務所の関与先の平成24年中の税務調査は、法人税0件、相続税0件でした。

(個人は1件ありましたが、これは私は関与する以前の年分の調査でした)

これが、添付書類の提出によるものなのか、そもそも調査対象とならなかったものなのかは、

定かではありませんが、税務署からの税理士に対する「問い合わせ」すら一件もなかったことを考えると、

「添付書類」によって、税務署の疑問点がある程度は解消できたと想像しても良いと思います。

私は、お客様に添付書類の説明をするときには、

「これは、私が申告書につける『品質保証書』です。」という言い方をします。

もちろん、申告の内容全部に責任がもてきれるはずもありませんが、

税務の専門家として、「重要である点」、「注意した点」はコメントしておくべきだと思いますし、

「税務署が知りたいだろう。」「疑問に思うだろう。」と思うことはあらかじめ説明しておくことにより、

余計な調査が省略できるのであれば、積極的に活用すべき制度だと思うのです。

ちょっと、ムズカシイ言葉を並べてしまいましたが、「書面添付制度」、牧事務所ではフル活用しております。